参加者インタビュー 【人生の質を変える経験】
『私ってやればできるんだ!』島田あや さん
経歴/
システムエンジニア、アウトドアインストラクター、金融教育講師、イラストレーター
OBJの参加歴/
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2009年 「セルフディスカバリー10日間」
・
2013年 「冒険教育指導者育成コース JALT76日間」
── アウトワード・バウンド・ジャパン(以下OBJ)との出会いを教えてください。
OBJの存在を知ったのは、2007年、大学2年生の時に子ども向け野外教育事業のボランティアスタッフを始めたことがきっかけです。
日常から離れた環境で子どもたちが成長する様子に触れ、野外教育の魅力に気づきました。大学生活で何かに本気で取り組む経験がなかった私は、野外教育に出会い、「私が打ち込みたいのはこれだ!」と感じました。
当時の団体の先輩から、野外教育の理解を深めたいなら、と教えてもらったのがOBJでした。
<写真1:大学2年生の島田さん 野外教育に出会いキャンプにハマり始めた頃>
── 2009年のセルフディスカバリーはどんな体験でしたか。
2009年の秋、当時は大学4年生で、すでにシステムエンジニアとしての就職が決まっていました。野外教育を仕事にしたい気持ちもあったものの、安定したキャリアを選んだというのが本音です。
しかし、内心では「私の人生、このままなんとなく流れていくのかなぁ、これでいいのかなぁ」と疑問も持っていました。そんな折にセルフディスカバリーに参加したのですが、これが私の人生観を一変させる「衝撃」でした。
私が参加した当時のセルフディスカバリーは、ロッククライミング、沢登り、マウンテンバイク遠征、登山遠征と、大きく分けて4つの活動で構成されていました。
中でも特に影響を受けたのが、最後の活動である3泊4日の登山遠征。
実は、登山直前のマウンテンバイク遠征では体力が持たず自転車を漕げなくなり、目標地点へゴールできず。「私って本当にダメなやつだ…」と落ち込みました。
でも、このままでは何もやりきらないまま終わってしまう!それはいやだ!という思いで挑んだのが登山遠征だったんです。
背負う荷物の量、歩く距離、山の高低差。体力のない私にとっては全てが大きな負荷。歩き初めて早々にネガティブな気持ちにもなりました。
しかし一方で、私より体力がある(と私が感じていた)仲間たちが体調不良で下山を余儀なくされたり、足を痛めて歩きにくそうにしている姿を見て、「私だけがしんどいわけじゃない。今まで支えてもらった分、私もみんなを支えたい!」という気持ちが芽生えました。
そして迎えた最終日、一度下山したメンバーの体調が回復して合流し、一緒にゴールを目指せることになりました。ゴールのタイムリミットまでに、ギリギリ間に合うかどうかという時間。
その時の私には「何がなんでも歩く!絶対ゴールする!」という気持ちしかありませんでした。とにかく歩きました。
結果的に、全員揃って時間内に無事ゴール。
「私たち、やったんだ!」「全員でゴールできた!」
途中でたくさんの困難を感じた分、心から感激しました。
「やると決めたことをやり切った」という充足感に満ちていたし
「私って、やればできるんだ」と心から感じました。それは私の人生にとってはじめての経験で、まさに衝撃でした。
<写真2:ゴールで号泣するセルフ参加者、右から2番目が島田さん>
<写真3:ゴール到着時刻。リミットは15時でした。>
── 参加にあたって不安はありませんでしたか。
自分の体力に自信がなかったので、正直、不安の方が大きかったです。
体力がない人も参加できると聞いたのですが、プログラムの内容を想像して、どこかで挫折するような予感がしていました。
ただ、終えてみて感じたのは「体力に自信がない人が参加してもいい!」ということ。
体力がないから…と参加を迷っている方がいたら、「参加したい気持ちが少しでもあるなら参加しておいで!」と思いきり背中を押します。初めは不安だった私ですが、それくらい、参加してよかったと思っています。
── JALT(冒険教育指導者育成コース 76日間)に参加しようと思ったのはなぜですか?
当時のインストラクターの言葉や関わりに支えられたから、登山遠征をやりとげることができたという気持ちがあり、「私も誰かの背中を押せる存在になりたい」と思ったからです。
システムエンジニアの仕事もやりがいがありましたが、自分のやりたいことに挑戦したい気持ちが強くなり、会社を退職しました。
── 2013年のJALTはどんな経験でしたか?
体力的にはJALTもやはり苦戦しましたが、自分の興味があることを学べる環境はとにかく楽しかったです。野外教育の指導者を仕事にしようと決意しました。
<写真4:JALT最終日の参加者とインストラクター、中央が島田さん>
── JALT参加後のことを教えてください。
ご縁があり東北の団体で野外教育の仕事に就きましたが、やりたいことと収入のバランスに悩むようになりました。
私は、野外教育は人生を豊かにする手段のひとつだと思っています。が、その野外教育を続けることでお金に困り、活動を続けられなくなるのは本末転倒です。
この経験から、野外教育の現場に直接関わるのではなく、野外教育を支えることを仕事にしたいと考えるようになりました。
そして、金融教育に携わるため東京の企業への転職を決断。現在は特技と経験を活かしてイラストレーターとして活動しています。
<写真5:金融教育に関わった経験を活かして挿絵を担当した書籍>
── 今後の展望はありますか?
お金の知識やイラスト制作、デザインを通して、野外教育業界ややりたいことに挑戦する人たちを支えたいと考えています。
実際にNPOや野外教育団体へレクチャーを行う機会も増えているので、間接的ではありますが、自分を育ててくれた野外教育に還元していきたいです。野外教育がもっとポピュラーな存在になるお手伝いをしたいですね。
── OBJでの経験は人生にどんな意味がありましたか?
一番大きいのはやはり「私ってやればできるんだ」という感覚を得られたことです。社会人になってから、仕事でめげそうになったときもその自信にすごく支えられたし、新たなことに挑戦する時も自分を信じられるようになりました。
その経験が、今フリーランスとして仕事をする上でも力になっています。
OBJのコースに参加したことは、今でも私の自慢です。経験を糧に、仕事もプライベートも充実した豊かな人生を送りたいと思っています。
<写真5:旦那さんと沖縄でシーカヤックを楽しむ島田さん>
── 島田さん自身が綴ったセルフディスカバリーでの経験は、こちらの記事でイラスト付きで読むことができます。参加を検討されている方はぜひご覧ください。